ふきおと

菊優紹古へのインタビュー

ひと
ℚ.どのようなきっかけでお箏を習い始めたのですか。

私は、石川県小松市で生まれ育ったのですが、近所のお姉さんがお箏を習っており「素敵だな」と思い、憧れていました。実際にお稽古を見せてもらった時に「すごい楽器!」と、その美しさに圧倒されたことを今でも鮮明に覚えています。

ℚ.実際には、おいくつの時でしたか。

お箏を習い始めたのは6歳の時です。これもまた不思議な出逢いですが、小学校に上がって初めてできた友達が偶然お箏を習っていたのです。そこで、「自分も習えるなら習いたい!」と思い、母に頼んだのが最初でした。

ℚ.邦楽に出逢うというのはかなり珍しいことのように思うのですが、石川県は邦楽の盛んな地域なのですか。加賀藩の文化影響もあったりするのでしょうか。

お亡くなりになりましたが石川県出身の翫豊子(いとうとよこ)先生が、近くにおられ、先生のもとで生田流のお箏を習い始めました(先生は当道音楽会所属)。

長じて知ったことですが、石川県は教育に力を入れていた地域だったようです。先生は、平成3年に石川県の社会教育功労者表彰を受賞されておりますし、素晴らしい環境が身近にあったことも大きかったと思います。

ℚ.お稽古が嫌になったり、やめたいとは思ったことはないのですか。

小学4年生を迎えるころに、三味線も習い始めました。そして、高校生の頃から「もっともっと上手になりたい!」と音楽への意欲がより強くなりました。

音大への進学を翫先生に相談したところ、大阪音大の須山先生(故人)と中島先生に指導を受けることを薦められ、同大学に入学することになりました(両先生は宮城会所属)。

ℚ.大学も大阪音楽大学へ進まれたのですね。

大阪音楽大学で須山知行先生・中島警子先生に指導を受けることになり、箏科を首席で卒業、そして専攻科を修了することができました。
その後、社会人になったわたしは家庭の事情など紆余曲折あり、しばらく音楽活動から遠ざかっていました。

ℚ.再び邦楽活動を開始されたきっかけは。

当時高校生の息子から「お母さんはお箏をやったほうがいい。今やらなかったら絶対後悔する。」となぜか猛烈な後押しをうけました(ちなみに、息子はなぜそんなことを言ったのか覚えていないようです)。以前より憧れていました「菊原先生の古典を学びたい」という意欲が高まり、そんな時に菊原光治先生が東京で稽古をつけていらっしゃると話を聞き、願ってもない好機と入門させていただきました。

ℚ.「菊優紹古」の称号はどのような経緯で決められたのですか。

菊原光治先生に箏と地歌三味線を、菊津木昭先生(故人)に上方胡弓をそれぞれ師事。
先生のご指導の賜物で、当道音楽会職格検定試験の中授道~大勾当において、すべて首席で取得することができました。
自分にはもったいない先生に指導していただいたことに、感謝してもしきれません。
そして、菊原光治先生により「菊優紹古」の称号を授かりました。
名前の由来は、菊原光治先生から「あんたは優しい子やから」とのことで「菊優」、「古典を紹介する」という意味で「紹古」です。
「野川流三味線本手組歌」と「古生田流筝曲組歌」を全曲取得し、菊原光治先生より両巻を伝授いただいております。

ℚ.邦楽の普及活動の今後について教えてください。

日本の伝統音楽の良さを広めていきたいとの思いから、現在東京と大阪を中心に演奏活動しております。
ユニット「音古風」(ねこのかぜ)を、菊重精峰氏(作曲・地歌筝曲)と田辺頌山氏(尺八)と結成し、2014年12月から東京の増上寺別院などで演奏会を行っています。
「古の音が風になる」時空を越え、自然と一体となった古典音楽鑑賞を皆さまに体験していただきたく活動をしております。
また、個人では「糸の華」を主催させていただいております。2016年4月に地元の金沢市アートホールにて初開催し、東京では文京区松聲閣にて開催させていただきました。
箏・三味線・胡弓はすべて弦楽器で、糸から音が出ています。
「糸から音が花開いていく」「華やかな音楽が糸からつくりだされている」細い糸から生まれる繊細で美しい古典音楽。
音の生まれとそこから広がっていく様子を味わっていただければ幸いです。

ℚ.伝統邦楽教室「ふきおと」の展開について教えてください。

わたし自身は演奏に対するこだわりが強く、より良い演奏を追究することや古典の世界を理解することに集中していました。

コロナ禍で演奏会が激減し、自分と向き合う時間が増えたことで3つの想いが膨らんできました。
1つ目は「教えることで新しい古典の理解が見つかるかもしれない。」
2つ目は「演奏だけでなく、教えることで古典邦楽を広めていきたい。」
3つ目は「わたしに指導していただいた先生たちや古典邦楽をつくってきた先人たちへの恩返しとして、自分が演奏するだけでなく教室を開き指導をしたい。」
これらの想いから、音楽教室を開くに至りました。
わたしの課題に「古典邦楽を今の感性で楽しめるように演奏する」というものがあります。
わたしの教室「ふきおと」では、初心者の方や今まで伝統邦楽に慣れ親しんでいなかった方にも伝統邦楽を楽しんでいただきたいと考えています。
皆さんとの稽古を通じて、「古典邦楽を楽しむ人が増えるのを見たい」「古典邦楽がジャンルとして未来に残っていく姿を見届けたい」。
「今を生きる古典邦楽の演奏家」を目指し、皆さんと稽古に励んでおります。

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